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林 眞琴*; 大城戸 忍*; 森井 幸生; 皆川 宣明
Materials Science Research International, Special Technical Publication, 1, p.418 - 423, 2001/05
中性子の進入深さは、X線に比べ大きい。ステンレス鋼の配管等では10mm厚の管壁は十分に測定可能である。そのため、中性子回折法により応力腐食割れ、疲労き裂進展の応力による変化を求め寿命予測を行うことができる。日本では、このような目的研究を含んで、日本原子力研究所のJRR-3M原子炉中に残留応力解析用中性子回折装置が設置され研究が進展している。ここでは、今まで行われてきた研究として、弾性定数の指数依存性に伴う弾性定数の求め方、き裂進展に伴う応力再分配の測定,集合組織を持つ材料で作られたアルミニウム冷やし填め試料の残留応力評価方法について発表する。
秋庭 義明*; 田中 啓介*; 皆川 宣明; 森井 幸生
Materials Science Research International, Special Technical Publication, 1, p.427 - 430, 2001/05
アルミナを基材として、酸化ジルコニウムを分級物として製作したAlO/ZrO及び炭化シリコンを分級物としたAlO/SiCは、セラミックス複合材として知られている。これらは製作過程で熱応力が残留する。各材料関の応力を中性子回折により測定した。各相関応力は、Zr(202),AlO(113),AlO(116),SiC(220),及びSiC(311)の中性子回折測定結果から確定した。その結果、AlO/ZrOの複合材での残留応力は、アルミナ相で圧縮、酸化ジルコニウム相で引張であることがわかった。一方、AlO/SiCでは、アルミナ相での残留応力は引張りでありSiC分級物の容積により増大することがわかった。これは、Eshelbyの含有モデル理論による予測と一致した。
大城戸 忍*; 林 眞琴*; 森井 幸生; 皆川 宣明
Materials Science Research International, Special Technical Publication, 1, p.435 - 438, 2001/05
き裂進展が発生することにより、その材料内部の応力が再分布することは知られている。中性子回折法によりステンレス鋼304パイプ(内径=97.1mm,厚さt=8.9nm)で作られた突合せ溶接継手配管を用い、放電加工により導入したき裂により再応力分布の状態を測定し評価した。導入したき裂は、配管内部にき裂深さaと試料厚さtの比率a/tが0.25及び0.5でアスペクト比a/cが0.1と0.5(cはき裂1/2長さ)である。き裂導入前の応力分布と、導入後の応力分布を比較するとともに、有限要素法による予測分布を比較し評価を行った。その結果き裂の最も深い点でのき裂に沿った残留応力分布がき裂先端部分で変化したにもかかわらずき裂途中部分では大きな変化がないことがわかった。
山下 正人*; 小西 啓之; 高橋 正光; 水木 純一郎; 内田 仁*
Materials Science Research International, Special Technical Publication, 1, p.398 - 401, 2001/05
耐候性低合金鋼のさび層は大気腐食に対して強い保護機能を有する。鉄鋼のさび層を制御するには、さびの詳細な構造及びそれと防食性との関係を知ることが重要である。特にさび層に含まれる合金元素の原子位置は直接さび層の構造と特性を制御していると考えられる。本研究ではFe-Cr合金蒸着膜を硫酸水溶液液膜下で腐食させて得られる生成物について、その局所構造を調べた。メスバウアー分光法及び放射光斜入射X線回折法の結果は、腐食生成物が-FeOOHと超微細ゲーサイト(-FeOOH)とから成ることを示している。EXAFS実験より少なくともゲーサイト中にはFe-Cr合金からのCrが存在することがわかった。Feサイトを置換したCrがゲーサイトの結晶粒径を微細化する一方、Fe-O-OH八面対の間に侵入して存在するCrがさび層にイオン選択性を与え、保護機能を増加させていると考えられる。